メンデレーエフ伝―元素周期表はいかにして生まれたか (1976年) (ブルーバックス)

1974年にロシア語で出版されたものの翻訳。著者は『青年の技術』誌の編集者で、科学普及書の執筆を手がけていた人物。訳者は、戦前にハルピン鉄道学院のロシア語科教授を務め、このころはロシア語の科学文献の翻訳紹介に携わっていたという。本書は、元素周期表を考案したメンデレーエフの伝記で、その出生から死去までが詳しく丁寧に描かれている。やや持ち上げすぎなきらいはあるが、まあ、ふつうに読める本だと思う。元素周期表のほかにも、広い分野で活躍した科学者だったことがわかる。また、激しい性格だったことを示すエピソードも各所に書かれ、人間的なおもしろみが伝わってくる。